マツダ「RX-8」

マツダの魂「ロータリーエンジン」が遂に生産終了。世界で唯一市販化されたロータリーエンジンの歴史を振り返る

マツダからロータリーエンジンが消える。いや、世界からロータリーエンジンが消える。
私と同年代やもう少し上の世代にとってマツダと言えばロータリーエンジン、と言うくらい、特にマツダのスポーツカーを語る上でなくてはならない存在です。

更に日本の一自動車メーカーが、世界のどのメーカーも成し得なかったロータリーエンジン搭載車の市販化を成功させたと言う意味においても、日本の自動車史を語る上で欠かせない存在と言えると思います。

マツダのロータリーエンジン搭載車の歴史

1959年 ドイツの技術者フェリクス・バンケルがロータリーエンジンの試験開発に成功


1961年 7月 マツダとNSU社/バンケル社(フェリクス・バンケル)と技術提携
1961年 11月 マツダがロータリーエンジンの試作機を完成


1967年 5月 ロータリーエンジンの完成発表、10A型エンジン搭載のコスモスポーツ発売

マツダ「コスモスポーツ」
画像:Taisyo



1968年 7月 ファミリアロータリークーペ発売

マツダファミリアロータリークーペ
画像:Taisyo



1969年 10月 13A型エンジン搭載ルーチェロータリークーペ発売

マツダ「ルーチェロータリークーペ」
画像:Taisyo



1970年 5月 12A型エンジン搭載カペラロータリー・シリーズ発売

マツダ「カペラ・ロータリー」
画像:Tennen-Gas


1970年 6月 ロータリーエンジン車のアメリカへの輸出を開始
1970年 12月 ロータリーエンジン車生産累計10万台達成


1971年 9月 サバンナ発売

マツダ「サバンナ」
画像:Taisyo


1971年 10月 ロータリーエンジン車生産累計20万台達成


1972年 1月 カペラロータリークーペがヨーロッパ11カ国10万キロ耐久テストを走破
1972年 11月 公害対策量産車第1号のルーチェロータリー・シリーズを発売

マツダ「ルーチェロータリー」
画像:Taisyo



1973年 6月 ロータリーエンジン車生産累計50万台達成
1973年 12月 13B型エンジン搭載ルーチェAPグランツーリスモ発売


1974年 7月 パークウェイロータリー26発売


1975年 3月 ロードペーサー発売

マツダ「ロードペーサー」
画像:Taisyo


1975年 10月 燃費40%改善の低公害ロータリー車発売、コスモAP発売

マツダ「コスモAP」
画像:160SX (talk)



1977年 7月 コスモL(ランドウトップ)発売
1977年 10月 ルーチェレガート発売

マツダ「ルーチェレガート」
画像は海外仕様車



1978年 3月 サバンナRX-7発売

マツダ「サバンナRX-7」


1978年 11月 ロータリーエンジン車生産累計100万台達成


1981年 10月 コスモ/ルーチェロータリー・シリーズ発売


1982年 8月 コスモ/ルーチェに12A型ロータリーターボ搭載車を追加


1983年 9月 サバンナRX-7がマイナーチェンジで12A型ターボエンジン搭載車を追加


1985年 10月 サバンナRX-7をフルモデルチェンジで13B型ターボ搭載

マツダ「サバンナRX-7」
画像:宮本すぐる



1986年 4月 ロータリーエンジン車生産累計150万台達成
1986年 9月 ルーチェをモデルチェンジ


1990年 4月 20B-REW型、13B-REW型エンジン搭載の3ローター、ユーノスコスモ発売

マツダ「ユーノスコスモ」
画像:Kuha455405



1991年 6月 マツダ787Bが第59回ル・マン24時間レースで総合優勝
1991年 10月 東京モーターショーに、コンセプトカーHR-X(水素RE搭載)を出品
1991年 12月 RX-7がフルモデルチェンジで13B-REW型エンジン搭載

マツダ「RX-7-FD」



1993年 10月 東京モーターショーにコンセプトカーHR-X2(水素RE搭載)を出品


1995年 5月 水素ロータリーエンジン車の公道実験開始
1995年 10月 東京モーターショーに、コンセプトカーRX-01(MSP-RE搭載)を出品


1996年 1月 RX-7がマイナーチェンジで265馬力に


1998年 12月 RX-7がマイナーチェンジで280馬力に


1999年 10月 東京モーターショーに、コンセプトカーRX-EVOLV(RENESIS搭載)を出品


2001年 10月 東京モーターショーにデザインモデルRX-8(RENESIS搭載)を出品


2003年 4月 RENESISエンジン搭載のRX-8が発売開始

マツダ「RX-8」
画像:韋駄天狗


2003年 10月 RX-8水素ロータリーエンジン開発車を発表

マツダ「水素ロータリーエンジン車」
画像:Taisyo



2004年 10月 RX-8水素ロータリーエンジン車が公道走行試験を開始


2006年 2月 RX-8水素ロータリーエンジン車のリースを開始(限定)
2006年 7月 RX-8ハイドロジェンRE初の海外デモ走行をノルウェーで実施


2007年 1月 水素ロータリーエンジン車を日本科学未来館に納入
2007年 3月 水素ロータリーエンジン車を日本自動車研究所に納入2007年 4月 水素ロータリーエンジン技術を日本科学未来館に展示


2008年 10月 ノルウェーで水素ロータリーエンジン車の公道走行を開始


2012年 6月 RX-8の生産終了

40年以上の歴史に幕

来年の6月で姿を消すことになったロータリーエンジン。日本が世界に誇る工業製品といえるだけに残念ですね。
特にスポーツカーファンの方たちには深い思い入れもあるのではないでしょうか?

ただ、年表の最後の方を見ていただくと分かるとおり、近年マツダでは水素を燃料とするロータリーエンジンの開発に力を入れています。もしかしたら、いつか水素ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーが登場する日が来るかもしれません。

オマケ ロータリーエンジンの仕組み

現在道路を走っているほとんどの車は4サイクルのレシプロエンジンを搭載しています。
一方ロータリーエンジンは内燃機関としてはRX-8だけに搭載され独特の構造を持っています。

ロータリーエンジン
画像:Y_tambe

4サイクルエンジン(レシプロエンジン)
画像:UtzOnBike



少しだけ解説すると、ロータリーエンジンと4サイクルエンジンの最も大きな違いは、4サイクルエンジンが混合気(燃料)の爆発で生じた運動エネルギーを、往復運動から円運動へと2ステップでタイヤの回転力にしているのに対し、ロータリーエンジンでは始めから円運動でタイヤに回転力を伝えています。
余計な部品がない分軽量・コンパクトで同じ排気量のレシプロエンジンより高出力が期待できます。

簡単に解説しましたが、もっと詳しくロータリーエンジンについて知りたい方はこちらをどうぞ。

ロータリーエンジンの仕組みが分かる動画

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