一昔前なら県外の車屋さんから中古車を購入するなんて考えもしなかったものですが、最近ではネットで手軽に全国の中古車情報が見られるようになり、近隣の県なら購入先の候補として選択肢の一つに入るようになりました。
ネットで中古車情報を検索できるようになる前は、地元のディーラーや付き合いのある車屋さんの在庫車を買う、あるいはオークションなどで条件にあった車を探してきてもらう、などするのが当然だったと思います。
スマホで中古車情報を検索することが出来る今、自分で探した中古車を県外の車屋さんから購入するという選択肢も充分に現実味があります。
ただ、車の売買に関する知識が薄い人にとってはやはり敷居が高く、本当に大丈夫だろうか?という不安が大きいと思います。
それでも県外まで手を広げて車を探すことにはいくつもメリットがあり、無事に購入できた時には大きな満足感を得ることができると思っています。
今回の記事は特に次のような人たち向けの記事になります。
- できるだけ安く中古車を購入したい
- 特定のメーカー・車種・グレードにこだわって探したい
- できるだけ多くの中古車を比較して1台を選びたい
- できるだけ程度の中古車を手に入れたい
逆に下記に当てはまる人には向かないと思います。
- 金額はそれなりでいい
- できるだけ早く手に入れたい
- 付き合いのない車屋から車を買うのは怖い
- 車のことは全くわからない。手続きなどもってのほかだ。
- 車を買うのは初めてだ
- 遠くまで車を見に行くのはしんどい
ー目次ー
県外の車屋で中古車を買うメリット
まず、わざわざ県外の車屋から中古車を買うわけですからそれなりのメリットがないといけません。私の考える他県からの中古車購入メリットは以下のようなものです。
- 安い車を探せる
- 相手(車屋)のペースに乗せられず自分の求める条件で検討することができる
- 台数の少ないマイナー車を見つけることができる
- 同じ価格で1つ2つ上のグレードが購入できる
- 同じ価格でより程度の良い中古車を探せる
- 多数の中古車を比較できる
私の考える最大のメリットは、とにかく納得のいくまで多数の車を比較して、じっくり検討し満足度の高い中古車を購入できる。ことだと思います。
中古車情報検索サイトやディーラー系の中古車情報サイトを見てみると、本当にたくさんの中古車情報が掲載されています。その中から車屋さんのセールストークを受けることも上手く乗せられることも無く、価格や車種、グレード、程度など自分の求める条件のみを徹底的に追求して納得の1台を探すことができます。
近隣の中古自動車販売会社などに在庫車を見に行くと、必ず店員さんのセールストークを受けることになりますし、相手の口車に乗せられてよく検討せずに購入を決めてしまう、なんて後から後悔するようなことを避けることもできます。
値段についてもやっぱり近隣の車屋さんで探すより、多数の車の中からはるかにお得な価格で、より上級グレードで程度の良い車を見つけられることがメリットになります。
どうしても欲しい特定の車種も探索範囲を広げることで見つけやすくなりますしね。
県外の車屋で中古車を買うデメリット
メリットがある一方それなりにデメリットもあります。
- 時間がかかる
- それなりに自動車に関する知識が必要
- 現車確認に時間と費用(高速代・ガソリン代)がかかる
- 登録費用や納車費用が割増になる可能性がある
- 自分で各種登録をすることになるかもしれない
- 相手(他県の車屋)との信頼関係がない
- 納車後のアフターフォローが見込めない(距離的な制約で難しくなる)
他県であるがゆえに現車確認のために高速代やガソリン代をかけて休みを潰す覚悟で遠出をすることになります。そこで決まればいいですが、場合によってはまた別な場所となるとそれだけでもそれなりの出費になります。
購入が決まったとしても車庫証明の取得や名義変更を車屋さんにお願いする場合、まず間違いなく割増料金を取られることになります。これは致し方ないことですが費用を抑える方法はあります。
車のように金額の高い買い物をする場合は売り手との信頼関係が大切になります。そういう意味では顔なじみの車屋さんや、友人知人に評判を聞くことのできるディーラーはやはり安心感があります。
車ってのは納車してハイ終わりでは無く、納車後のアフターフォローも大切になってきます。そういう意味では自宅から遠く離れた県外の車屋さんだとちょっと調子悪いから見てくれない?ってのが難しくなります。
こうしてみるとデメリットもそれなりに考えられ場合によっては高いハードルになりそうですね。
1.車探し
県外での中古車購入にあたって、何度も車屋さんを訪れて納得いくまで購入予定車を見たり、店員さんと話をしたりというのが難しいため車探しは大変重要です。とにかく根気よく優良車を見つけるまでPC・スマホとにらめっこしましょう。
車探しは中古車情報専門サイトがメインとなります。その他、自動車メーカーの運営する中古車情報サイトも大事な情報源なので必ず併せてチェックするといいでしょう。
中古車情報専門サイト
中古車専門サイトとしては上の4つをおさえておけば十分だと思います。大手のグーネットやカーセンサーは40万台ほどの車種を掲載(2017年5月)しています。ただし、いずれも加盟店(中古車販売会社)がいくつもの掲載サイトに同時に情報を出しているパターンが多いため、それぞれのサイトで全く同じ車が掲載されていることがほとんどです。そのためどの情報サイトを使ってもそれほど違いは無いと思います。
カービューはカーセンサーの中古車情報を掲載しているとのことなので掲載車はほぼ同じかもしれません。
各自動車メーカー運営の中古車情報サイト
- GAZOO(ガズー) → トヨタ系
- HONDAオートテラス → ホンダ系
- Get-U → 日産系
- スグダス → スバル系
- M・Cネット → 三菱系
- Mazda U-car Search → マツダ系
- U’s STATION ON THE NET → スズキ系
- U-CATCH → ダイハツ系
各メーカー独自で中古車情報サイトを運営しており、主にディーラーの中古車在庫が掲載されています。
ディーラー系の中古車情報は、グーネットやカーセンサーなど中古車専門サイトにも同時に掲載されている事も多いですが、中にはメーカー運営のサイトにしか掲載していない場合もあるため、こちらも必ずチェックしておきたいところです。
ディーラーの在庫車はやっぱり安心
メーカー直営のサイトを見てみるとどの車もとても程度が良さそうに見えます。私は一度、日産系のディーラー(県外)から中古車を購入しましたが、実際程度が素晴らしく、手続きに関しても何かと安心感がありました。
また、ディーラー系ということで一般的な中古車販売店より値段が高そうなイメージがありますが、以外とそうでもなくかえって割安という場合もよくあります。
初めて県外から中古車を買う場合はディーラー系の販売店を選べば失敗する可能性が低くなります。また、購入後の保証修理も全国のディーラーで受けられるサービスなどもあるためオススメできます。
購入希望車はできる限り絞り込む
普通車探しというと数台の候補車をピックアップして販売店を回りながら比較検討〜値引き交渉という流れだと思いますが、県外を視野に入れた車探しの場合は少し事情が変わってきます。
複数台の候補を県外まで見に行くのは相当面倒だし、数店舗をハシゴして現車確認、更にはそれぞれを競合させて値引き合戦に巻き込むというのは無理があります。相手の車屋さんにとっても県外のユーザーに中古車を販売するのは面倒で、できれば近隣の人に売りたいはずです。そのためそれほど頑張って値引きしてくれるとは限らず、売れなきゃ売れないでいいやという感じになりがちです。
そこで候補車はできれば1台まで絞ることをオススメします。値引き交渉は少し難しくなりますが、そもそもネットを駆使して安い中古車を探しているわけですから、目当ての車は相場より割安のはずです。そこはあまり欲張らずに提示価格プラスアルファくらいの値引きを目指したほうがスムーズに交渉が進むと思います。
せっかくネットで沢山の掲載車を自由に比較できるわけですから、隅から隅まで徹底的に比較して、県外まで現車確認にいく労力を払っても良いと思える1台を見つけましょう。
購入予定地はできれば車で数時間圏内の場所
いくらなんでも九州から北海道まで中古車を買いに行くのはコストが掛かり過ぎるし無理があります。高速を使ったとしてもせめて2~3時間以内で行ける場所までにしたほうが無難です。
往復5〜6時間+現車確認1〜2時間で休日1日以内で終わるように探索範囲を設定して車探しをしましょう。
2.現車確認
さて、目当ての1台が見つかったら、実際に自分の目で確認をしにいきます。通販感覚で現車確認せずに購入することもできるかもしれませんが、それは危険すぎるし相手の車屋さんも普通嫌がるはずです。逆にそんな売り方をする販売店も信頼できるお店とは言えないでしょう。
必ず電話で在庫確認と見に行く日時を伝える
県外の販売店まで見に行くわけですから必然的に休日を利用することになると思います。いきなり店舗に出向かずに、まずは電話で在庫の確認と行く予定の日時を伝えましょう。その時、自分が県外在住で県外販売に対応しているかを必ず確認しておきましょう。
特に確認しておきたい事項
車屋さんに着いたら、写真や商品説明の文章だけでは分からなかった細かい部分までしっかりと確認しましょう。疑問点は必ず質問して問題が無いことを確認します。特に確認しておくべきことは次のようなものです。
- 車検の有無と残存期間
- 仮に購入したとして納車方法
- 車庫証明や名義変更について
- 保証について(納車後の故障対応について)
- 整備手帳(日常点検記録簿)の有無
- 納車前の点検や整備について
車屋さんに必ず確認すべきポイント
現車確認時に必ず確認しておきたいポイントは、その車の所有権(所有者)と自動車税についてです。
車を買うわけですから当然所有権の移転もセットになりますが、所有者が誰なのかによってはスムーズに話が進まなくなります。例えばローンで購入した車の所有者がクレジット会社になっている場合、名義変更には所有権の解除が必要でそれにはローンの支払いが終わってないといけません。
そのため車の名義人(所有者)がクレジット会社になっている場合は、所有権の解除ができる状態か必ず確認してもらいましょう。
さらに自動車税の滞納があれば名義変更はできませんので納税状況についても同様に確認してもらうようにしましょう。
ちなみに自動車税の納税状況については、車の所有者とナンバーが分かる場合、各都道府県の県税事務所に問い合わせれば滞納の有無を教えてもらえます。
特に見ておきたいポイント
現車で見ておきたい箇所は内装・外装のほか足回りやエンジンルームですが、詳しい説明はここでは割愛します。その代わり分かりやすく詳しいページがありますので下記リンク先で確認して下さい。
3.価格交渉
現車確認をして外観や内装の状態、エンジンのオンオフや試乗をして自分の想定したレベルを下回っていないことを確認できたら次は価格交渉に移ります。
と言っても私は値切ったり交渉したりが苦手で、同じように苦手な人も多いと思います。だからこそ車探しの段階で値段を含めて検討を重ねて、妥協せず割安感のある1台を見つけておくことが大切です。
とは言ってもやっぱり1円でも安く買いたいのが心情。そこで私が使う手を紹介します。
価格交渉が可能か聞いてみる
そもそも中古車の販売価格は多少の値引きに耐えられるように価格設定されていることがほとんどでしょう。ただ、「あっちもこっちも検討していますよ」的なよくある手を使うのは他県の車屋さん相手だと難しいと思います。
なので小細工は使わずに直球勝負をしてみる手があります。相手もわざわざ県外から見に来た相手にあまり時間を掛けたやりとりはしたくないでしょうから、お互い様子見のようなことは省略して始めから本音をぶつけてみるのも有効だと思います。
ぶっちゃけ予算を相手にぶつける
もう開き直って予算を相手にぶつけてみましょう。例えば買おうとしている中古車が110万円だとしたら、予算が100万円だとぶっちゃけてみましょう。
あまりにも値段がかけ離れていたら相手にされないので、あまり欲張らずに現実的な値段を提示するのがポイントです。
予算が決まっているのに予算以上の車を見に行く、というのはちょっとどうかと思いますが、普通に値引き交渉するより「これだけしか出せないんです」みたいなアピールをしたほうが回りくどい駆け引きをしなくても案外上手くいくものです。
私みたいに交渉事が苦手だけど値引きしてほしいという方は試して見る価値はあると思います。
4.売買契約
現車を確認して金額にも折り合いがついたら売買契約を結びます。ここは近隣の車屋さんで購入する場合と変わりありません。
ただ、車庫証明や名義変更の代行手数料、納車費用が割高となる可能性が高いためそれらの費用についてはしっかり説明を求めて納得しておくことが大切です。
売買契約を締結したらあとは、代金の払込み方法(現金払いかオートローンを利用するか等)、点検・整備項目の確認と納車日や納車方法について打ち合わせをしっかりしておきます。
特に整備内容等については契約書または注文書に明細を記載してもらうよう求めましょう。あとから言った言わないとトラブルにならないためにも必要です。まあ、まともな車屋さんなら言わずとも契約書への記載と説明を欠かさないと思います。
5.納車・引き取り
売買契約〜納車整備〜名義変更と一通り済んだらいよいよ納車です。納車をお願いするにしろ現地に引き取りに行くにしろ待ちに待ったニューか―です。
実車の引き渡しには近隣で購入する場合と同様、車両状態の確認や契約内容通りの整備がしてあるか、名義変更は済んでいるか、書類がきちんと揃っているかを確認します。
その他、再確認として保証に関する内容も確認しておきましょう。納車後の故障修理についてはきちんと話をしておかないとトラブルの元になります。
もっと金額を低く抑えたければ
車両本体の値引きには限度がありますし、あまり値切って迷惑な客にならないようにしないといけません。
それでももう少しどうにかして金額を下げたい場合は、いくつか方法があります。
※下記に上げるいくつかの費用節約法は見積もりなり契約書なりで、それぞれの金額が明確になってから相手に打診するようにしましょう。
車庫証明を自分で取る
車庫証明の取得代行はディーラー系だったら最低1.5万円以上は取られるでしょう。県外を理由に下手したら2万円以上取られるかもしれません。
車庫証明は素人でも割と簡単に取ることができ、費用は3千円程度で収まります。
名義変更を自分でやりたいと言ってみる
これは少々難しい、というより相手の車屋さんが嫌がる可能性があります。
県外の車を移転登録(名義変更)する場合は、自分の住んでいる都道府県の運輸支局に実車を持ち込む必要があります。
そのため名義が旧所有者のまま他県の人間に持ち帰らせて、いつになるかわからない名義変更を任せるというのはまともな車屋さんなら敬遠するはずです。もし持って行かれた車を名義変更せずにそのまま乗り続けられたら大きなトラブルになりかねませんからね。税金のこともありますし。
とは言っても名変の手数料も2〜3万円ほどでしょうか、取られるわけですから名義変更の要領が分かってるだとか、とにかくどうしても安くあげたいだとかを相手に理解してもらい、了承を得られれば名義変更も自分でやってしまえば更に費用を抑えることができます。
しかし、相手が難色を示したら無理を言わないほうが良いと思います。相手にも旧所有者に対する責任があるでしょうから、そのあたりは相談の結果次第ということになります。
「納車はしなくて良い。取りに来ます。」と言ってみよう
県外の購入者の元に納車する場合、車屋さんが直接あるいは、配送業者を使うことになると思いますが、配送業者を使う場合、隣県でも最低3万円ほどは取られることになります。
素直にその金額を支払っても構いませんが、どうせなら同じお金を使ってプチ旅行気分で車を取りに行くのも良いと思います。
数万円払って持ってきてもらうより、数万円で電車やバスの旅をして場合によっては一泊してみたり、車の引き取りついでに観光して帰るという方が有意義なお金の使い方だと思います。
ただ、見知らぬ土地で初めての車を運転するわけですから、事故には十分気をつけて出発前には任意保険の担当に車両入れ替えの旨を通知するなど、万全を期すことをオススメします。
トラブルを避けるためには
他県での中古車購入にあたってはトラブルだけは絶対に避けたいものです。安くて良い車を買うどころか余計な出費や下手したら車も手にはいらない、欠陥車だったなんてことになれば泣くに泣けませんからね。
信用できる車屋さんかを調べる方法
付き合いのない車屋さんから車を購入するのは誰でも怖いものです。売買契約の前に相手の車屋さんの評判や信頼度をはかる方法としていくつか紹介します。
JU(一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会)の加盟店・会員になっているか調べる
JUは全国1万社以上の中古自動車販売店が会員となっている団体で、たいていの車屋さんは会員となっている(と思う)ので、JUに加盟していない販売店は避けたほうが無難でしょう。
クチコミを調べる
中古車情報検索サイトでは販売店に関するクチコミも掲載されているので、その情報を頼りにある程度の判断が可能です。
少なくともクチコミにトラブル云々という過去があればその販売店は避けたほうが良さそうです。
以下に中古車情報サイトの登録販売店ページのリンクを貼っておきます。
→中古車販売店・中古車ディーラーを探す(グーネット)
→中古車販売店を探す(カーセンサー)
オークションの個人売買には手を出さない
もっと安く手に入るかもしれませんが私ならオークションでの個人売買は避けます。相手にもそれなりに自動車売買の経験があればまだいいですが、そのあたりのことをよく知らない人と大きな金額のやりとり〜登録関係まで考えるとリスクが高すぎる気がするからです。
オークションで車を探すのは極端に弾数の少ない超希少車種が欲しい場合くらいだと思います。それ以外でオークションを使うのは怖すぎます。
成功のコツは焦らず時間をかけて
トラブルなく、安く良い車を他県の車屋さんから購入するためにはじっくりと時間をかけて車探しをするのが成功のコツです。そのためには余裕を持って行動することが大切です。
そして車探しには販売店の信頼度調査も含まれることを忘れないで下さい。付き合いのない車屋さんから中古車を購入するわけですから、ネット上のクチコミや各団体加盟店かどうかなどの情報はとても役に立ちます。
以上が他県の中古車販売会社から中古車を購入するときの手順や注意点等になります。せっかくのマイカーですから少しでも安く程度の良い車を手に入れてカーライフを楽しみましょう!
画像:efilpera