焼けたブレーキディスク

レーシングカーも真っ青!?ブレーキが真っ赤に焼けたままガソリンスタンドにやってきたお客さん

ブレーキのメンテナンスに関するポイントについての記事を書きながら思い出したことなので記憶もあやふやで申し訳ないですが忘れないうちに書いておきます。
ガソリンスタンドには毎日色々なお客さんと共に車がやってくるのですが、その中の1台についての記事です。
あんな状態の車を見たのは後にも先にもあのときだけです。

特にあわてる様子もなくいつものようにやってきたお客さん

そのお客さんは私が勤めていたスタンドのすぐそばにある会社で働いていた方です。乗っていた車種は忘れましたがちょっと古めの軽自動車、確かスズキのアルトワークスかダイハツのミラかそんな小型の軽自動車でした。
ある日の夕方いつものようにやってきて、給油をするわけでもなく私にこう言いました。

「なんかブレーキがおかしいんだけど見てくれない?」

「ええ、明らかに普通じゃないですね。だってあなたの車のブレーキでタバコなら火がつきそうなくらい真っ赤に焼けてますから」とはさすがに言えませんでしたが、スタンドに入って来たときからその異常さには気付いていました。
その車のフロントホイールの中にある円盤状のディスクローターが今にも火が出そうなほど真っ赤に焼けていたのです。そのことを告げるとお客さんもさすがにあわてて車を降り前輪を見てかなりショックを受けていました。
私もそんな状態のブレーキを見るのは初めてだったので、かなり驚きましたが原因はすぐに想像できました。

ブレーキキャリパーのピストンが固着したことによるブレーキ踏みっぱなし状態

ブレーキキャリパーのピストンとはブレーキペダルを踏んだときにブレーキパッドをディスクローターに押し付ける部品のことで、ペダルを放したときには当然ローターを押し付ける力が弱まらなくてはいけません。
これが何らかの理由でピストンが戻らなくなる場合があります。たいていのはブレーキオイル内に水分が入り込んだことで生じた錆が原因で動かなくなってしまいます(固着といいます)。
そのお客さんの車の場合にはブレーキを踏んだ瞬間に完全に固着してしまいピストンが戻らなくなったのだと思います。こうなるとブレーキペダルを踏まなくても常にブレーキが掛かった状態になってしまうので、気付かずに走行していると、この方のようにレーシングカー顔負けのブレーキで走ることになります。

ちなみにそうなるとブレーキはほとんど効かなかったと思うのですが

そこまでブレーキが熱を持ってしまうとブレーキオイルも相当な高温になっていたはずです。そしてブレーキオイルは高温になるとベーパーロック現象といってブレーキが効かなくなる現象が発生します。
そのお客さんもブレーキに何らかの違和感を感じてスタンドにやってきたのですが、自分の車がそんな状態になっているなんて気付かなかったのですね。

2010.04.12 追記
良く考えてみたら仮にブレーキ踏みっぱなし状態でパッドが固着したらブレーキは常に効いた状態ということになりますね。^^;
記事を読み返してみたら若干意味不明だったので追記しました。

車が燃えなくて良かった

結局その車はブレーキ周りの大掛かりな修理が必要になり、お客さんは車が古かったせいもあり修理をせずに車を買換える羽目になってしまいました。
ただ、ご存知のように車はガソリンやゴム類など燃えやすい物の集りです。もしそのまま走り続けていたら車自体が燃えてしまったかもしれません。
後日そのお客さんと話したときに確認してみるとブレーキオイルなんて交換したことないとのことでした。やはり車に安心して乗り続けるためにはある程度のメンテナンスは必須だということです。
ブレーキオイルの交換をしなかったがために(他にも原因はあるかもしれませんが)車を買い替えることになったお客さん。車が燃えなくてホントに良かったですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です