ニュースで自動車保険詐欺の事件を報道していました。
福岡で11人の男が共謀して故意に自動車事故を起こし、治療費や休業損害金として保険会社から現金を騙し取ったとして福岡県警に逮捕されたというニュースです。
自動車保険の詐欺の話はニュースで割りと見かけるし、どうせすぐばれるのにバカなやつらだ、なんてボーっと考えていたら、ふと昔の事故のことを思い出しました。
その時も「自動車保険詐欺って以外に簡単かも」なんてよからぬ事を妄想してしまったのですが、今日はその事故のときのお話です。
事故は唐突に前触れもなくやってきた
ほとんどの事故がそうであるように、その事故も突然やってきました。
あれは私が20台前半のことで、当時はまだスポーツカーと呼ばれる車たちがわりと街中を走り回っていたころです。私のマイカーもそのころほんとに多かった日産・シルビアS-13で、爆音を撒き散らしながら夜な夜な走り回っていました。
私はドリフトだとか峠を攻めるだとかにはあまり興味が無かったのですが、とにかくドライブが好きだったので毎晩のように愛車で出かけたものでした。
その日もいつものように隣に彼女を乗せて夜のドライブに出かけ、今日はどこに行く?なんて暇人まるだしのしょうもない話をしながらドライブに欠かせない、飲み物とお菓子を仕入れにコンビニに立ち寄りました。
特に行く当てもない暇人は大抵コンビニで立ち読みをするもので、私も彼女も当然のごとく立ち読みを始めました。そして、立ち読み開始から5分とたたずに事件は起きました。
「駐車場に停めてある〇〇-〇〇ナンバーの車の方いらっしゃいますか?」
コンビニに入ってきた若いカップルが中にいるお客さんに一人ずつ声を掛け始めました。
そのカップルは立ち読みしていた私のところにも来て、聞き覚えのあるナンバーを口にしました。その車は自分の物だと答えると運転手と思われる男性が、とても申し訳なさそうに
「駐車場で車をぶつけてしまいました、すみません」と謝ってきました。
私もコンビニの駐車場で車を当てられるなんて思ってもいなかったので、ビックリしてそのカップルと共にコンビニを出て車の確認に向かいました。
夜だったし、街灯も暗かったのでパッと見、私の日産・シルビアは別にどうもなさそうでしたが、若者に指を指された部分を見てみると確かに車がぶつかった痕がありました。
運転席側のフェンダー前部が少しへこんで、ヘッドライトのレンズも軽く割れていて修理が必要な状態でした。
人の乗っていない車にぶつかって、わざわざ持ち主を探しに来た(当たり前ですが)律儀な青年は、
「車は修理させてもらいます。本当にすみませんでした」と、平謝りでなんだか気の毒になってきたので、なるべく穏便に済ませようと思いましたが、保険での修理のことを考えて「一応物損事故として警察に連絡しましょう」と彼に声を掛けました。
ところが、
「修理代は保険を使わずに自分で払うから、警察は呼ばないでもらえませんか?」
この発言に少々驚きましたが、当て逃げしてもおかしくない状況でわざわざ名乗り出た正直さと、警察による事故処理の面倒くささを考えて、私は了解しました。
車はたいしたダメージでもないし、払うって言ってるし、修理も自分でするつもりだったので別に問題ないだろうと思い免許証のコピーと携帯の番号を聞いて、後日請求書を送付するということにしてその場を離れました。
修理代をディーラーで見積もらせるときに使ったテクニック
さて、自分で修理するといっても手持ちの部品を使うつもりだった私は、いくら請求しようかな?と悩んでいました。当時若くてお金もなかった私は少し欲も出てきてしまい、5~6万円くらい貰えないかな?と考えるようになり、その金額を堂々と請求できるように一計を案じました。
その一計とはちゃんとした整備工場で修理代の見積もりを出してもらい、その金額を元に工賃とパーツ代(中古)を貰った見積もりより安く計算して請求するというものです。どこで見積もりをもらうか悩んだのですが、知り合いの車屋にウソの見積もりを作らせるわけにはいかなかったので、日産自動車のディーラーに車を持ち込んで見積もってもらうことにしました。
ここで私は15万ほどの見積もりをゲットしたかったのですが、そのままディーラーに持っていっても思ったような見積もりがもらえないと困ると思った私は、さらに一ひねりしてディーラーの担当者に見積もりを依頼する際に、一言付け加えて思い通りの見積もりを作らせることができました。
そのときの私と担当者とのやり取りです。
私「車をぶつけてしまったんで修理したいんだけど見積もりお願いできますか?」
担当「わかりました。お車を確認してすぐ見積もりしますので少々お待ちいただけますか?」
私「これってやっぱり15万以上かかりますよね~?」
担当「いや~、そんなには掛からないと思いますよ」
そして10分ほどのちに担当者が見積もりを持って帰ってたのですが、その金額は合計約14.8万円ほどで、見事に予想通りの金額になっていました。
明細はよく覚えていませんが、たしか頑張って色々見積もったなという感じで、なんだかよくわからない部品の交換代金まで含まれていたのでいわゆるボッタクリな金額だったと思います。
普通に修理するとヘッドライトの交換とフェンダーの板金塗装くらいなはずでしたが、ディーラーの担当さんはまんまと私の術中にはまってしまったわけです。
それでも、その担当さんは私を車のことがよく分かっていない若者だと勘違いしたのか、
担当「いや~、思ったよりダメージが酷かったのでこのくらいになっちゃいますね。」←車はチラッと見ただけでしたが、さすがプロ。それでもあなたが予想した金額以下に抑えましたよ、って感じで
私「そうですか~、やっぱりそのくらいかかるんですか・・・ちょっと親と相談してまた来ます」
と言って店を出た私はもちろんディーラーに修理を頼むわけもなく、自宅にあった中古パーツで修理を終わらせたのでした。
請求書を送ると彼から驚きの反応が
さて、修理も終わったし請求書を送ってお金を振り込んでもらうことに。
先日手に入れた日産自動車のお墨付きの見積書をコピーと、それを元に部品を中古パーツに工賃は自分で修理したと言うことでタダにして、合計6万円ほどの請求書を彼に送りました。
1週間ほどして、彼から私の携帯に連絡がありました。私はてっきりお金を振り込んだと言う連絡かと思ったのですが、金額が想像より大きかったのか今更になって保険を使いたいと言ってきたのです。
これには私もちょっとビックリしました。保健屋が入ってくるとなると面倒くさいことになりそうだったからです。
第一、警察呼んでないし事故処理ももちろんしてないし、車も治ってるし、それに事故が起きてからなんだかんだで既に1ヶ月近く経っていたのです。
ただ、その青年が少し気の毒だったので私も保険で処理できるように考えて、事故処理のために二人で警察署に出向くことにしました。
1ヶ月も経ってから事故処理してもらうとやっぱり怪しまれます
事故発生の際の鉄則ですが、必ず警察を呼んで事故処理をしてもらうのは後に保険を使う際にも必須の作業です。それが、時間が経ってから警察にいくと言うのはどう考えても普通じゃないので、案の定怪しまれました。
その証拠に担当の警官から住所や名前を聞かれた後にこう言われました。
警察「で、あんたらは会社の同僚か?」と、
もちろん違うと否定しその後、当事車両の確認をしてもらうことに、が、そこでもやっぱり怪しまれました。
警察「で、どこにどうぶつかったの?」
私はすでに修理されているフェンダーとヘッドライトを指差し「ここです」と答えると「ふ~ん」って感じで見ていましたが、「わかった、もういいよ」となんとか事故処理をすることが出来ました。
その後、彼から保険屋に連絡してもらい修理代ゲット!
予想外の展開になりましたが、保険を使うってことになったのでこちらも遠慮せずに、日産のディーラーで手に入れた見積もり金額をそのまま請求しました。
保険屋からは色々と突っ込まれるのを覚悟していたんですが、意外にもあっさりと満額を振り込んできたので手間はかかりましたが、思わぬ結果となりました。
事故処理って時間が経ってからも出来るし、直ってても保険屋がお金出すとは思わなかった
この一件で分かったのは事故処理って案外適当だなということと、保険屋も意外に素直だなということです。
金額もたいしたことなかったし、人身事故じゃなく物損だったので警察も保険屋もそこまで慎重にならなかっただけのことかもしれません。
警察が事故現場でなくても事故処理してくれるとは思いませんでしたが、これなら知り合いと組んで簡単に事故を捏造できるじゃん!
車が修理後でも保険屋がお金出すならなおさら簡単じゃん!
自動車保険詐欺が減らない理由はこのあたりにあるのかもしれませんね。あ、詐欺は絶対やっちゃだめですよ。それでは、また!
少額だとすんなり通りますね