タイヤってどうして磨耗するんでしょうか?1本でさえ安いとはいえないタイヤですが、交換するときって大体の場合2本1セット。タイミングが悪いと4本まとめて交換なんてこともありえます。
車の消耗品としては最も高い部類に入る部品ですね。しかもこればっかりは安全に関わる部分なのでケチるわけにもいきません.。
タイヤの交換時期が近づくと「はぁ~、タイヤ替えなきゃな~」とため息をつきながら交換したりするわけですが、タイヤを買うならガソリンスタンドがお奨めです!と言ったらあなたは信じますか?
利益完全無視の価格でタイヤを売る無茶なガソリンスタンド
これは私の勤めていたガソリンスタンド限定の話になるかもしれませんが通常、物の値段と言うのは仕入れ価格に利益を上乗せした価格が販売価格となるのが普通の小売業というものですよね。しかしガソリンスタンドというところは不思議なところでこの通常の商売のルールが通用しないことが多々ありました。
その一つに仕入れ価格を下回る値段でタイヤを売るという一見無謀としか思えない行為があります。
仕入れ価格を下回る値段というのは利益が1円も出ないばかりか売れば売るほど赤字となる商売としてはありえない手法です。もちろんタイヤの交換には交換工賃やタイヤバランス調整料金の技術料、廃タイヤの処分料などの実費が別途必要ですので、その部分での利益がないわけではありません。しかし利益が出ないと分かっていてどうしてそんな値段で売るのでしょうか?
ノルマ偏重主義が生み出す利益の出ない販売法と言う皮肉
さて、ガソリンスタンドの内情にあまり詳しくない方にとっては「なんで?」と首を傾げたくなるような販売方法でタイヤを売るスタンド、それにはある理由があります。
それはガソリンスタンドというところはあなたが考えているほど「ガソリンスタンド」ではないということです。分かりにくい表現で申し訳ないですが、スタンドというところはガソリンや軽油などの燃料ばかりの利益ではあまり儲からないらしく店員にタイヤを含め色々なカー用品(スタンドでは油外商品と呼んでいる)を販売させます。
そして会社や店舗によってはこの油外商品に非常に重点を置いていて、洗車やタイヤなどの販売量にノルマを設定していることもあります。このノルマが厄介者で大抵「無理、無理、無理」と突っ込みたくなるような数字を目標にしたりします。
そんなノルマを課せられたガソリンスタンドの店長、店員ですが彼らは別に営業の達人ではありませんので目標達成するのは至難の技です。立場上ノルマの達成に関して大きな責任がある店長は目標を立てたものの達成できそうもない場合、必殺技を繰り出します。
仕入れたものを原価より安く売る必殺技「卸し」
卸しとはそのまま卸売りのことで通常の販売ルート(店頭販売など)ではない、業者(主に車屋・小さな整備工場)への販売のことです。ノルマをどうしても達成したい店長は月末が近づくとなじみの車屋さんや整備工場へ営業をかけます。そして仕入れ値よりも安く販売してしまうのです。
タイヤを単に右から左に流しているだけのことですが、流せば流すほど赤字という悲惨な営業方法です。いかにノルマ達成に対する店長へのプレッシャーが大きいかが分かりますよね。
値引き交渉にとことん弱いのがスタンドの店員と店長
「じゃあタイヤが安く買えるのは業者だけじゃん!」と思ったあなた、そうとも限りません。前述のとおりスタンドの店長をはじめ店員は背中にノルマという厄介なものを背負っています。手っ取り早く売り上げを伸ばすには安売りするのが最も簡単な方法だと分かっているので、提示された金額を「高い」と渋ったらいとも簡単に値引きしてくれます。
スタンドマンにとって会社の利益は二の次で、ノルマを達成しさえすれば自分の仕事は果たしたという空気が流れていたのは事実です。実際に私もタイヤを売るとき「最悪、工賃でプラスになればいいでしょ」って感じで安売りしていました。
月末は安売りのチャンス!ノルマに追われるスタンドに救いの手を
月末は特に値引き交渉で安くタイヤを手に入れるチャンスです。思い切って交渉してみると意外にあっさりと折れてくれるかもしれません。ギブ&テイクの感覚でガソリンスタンドに数字をあげましょう。そしてタイヤ安くを手に入れましょう!
わたしはスタンドで働いていますが
さすがに赤字で売ることはしないですね。