Googleの自動運転車

自動運転車のメリット・デメリット

自動運転車が街なかを走り回る日が来るのはもはや確実で、あとはそれがいつか?というところまで来ていますね。

自動運転車の登場で、私達利用する側には様々な利点がある一方で、逆に自動運転車による弊害を危惧する声も上がり始めています。

そこで今回は自動運転車のメリット・デメリットを考えてみましょう。

自動運転車のメリット

自動運転による利点はいろいろ考えられます。

1.交通事故の減少

まず考えられるのは自動運転による交通事故の減少。交通事故の回避能力は自動運転車に求められる必須のシステムです。これなしでは自動運転車が世に出ることはありえないでしょう。

現在発生している交通事故の主な要因はドライバーの認知ミス、つまり運転手の判断ミスや見落とし、脇見運転といったものや、居眠り運転、操作ミスといった運転手の心身の状況によるものがほとんどとなっています。

人間は考え事もすれば疲れてぼーっとすることもあるでしょう。自動運転車は常に360度全方位の状況をセンサーやカメラで認識し、コンピュータで瞬時に判断を下し危険を察知すれば適切な回避行動を取ることが可能です。反応速度は人間よりコンピューターのほうが圧倒的に上であることは確かです。

自動運転車が完全に普及すれば交通事故のほとんどは起こらないかもしれません。高齢化の進む先進国では特に効果の高いメリットだと言えそうです。

2.渋滞の解消

自動運転車では他車との連携や、道路状況の把握〜ルートの自動設定なども可能なことや、人間による運転よりも圧倒的に正確な車両のコントロールが可能なことから、渋滞の大幅な解消も期待できるようです。

車間距離を詰めて運転し、混雑する道路を避けトラフィックを分散することで確かに渋滞の解消に大きく寄与しそうです。

3.運転からの開放

世の中には運転が好きという人ばかりではないでしょう。毎日の運転しての通勤が苦痛だという人もいるかもしれません。そんな人にとってはハンドルを握らずに済む車の登場は喜ばしいもののはずです。

運転中にスマホでゲームをしたり小説を読んだり、女性ならお化粧をしたり、忙しい人なら食事を取ったり、疲れている人は寝てみたりと運転から開放されることによるメリットもたくさんありそうです。

駐車時のハンドル操作も代わりにやってくれることで駐車の苦手な方にとっては大助かりなはずです。

4.人間ドライバーによる迷惑運転の減少

人間は様々なタイプがいるように、運転手も千差万別です。ハンドルを握ると性格が変わるなんて人も中にはいるようで、あおり運転や乱暴な追い越し・追い抜きなどの迷惑な運転でイライラさせられることもなくなるのかもしれません。

5.最高速度制限の緩和

正確な車のコントロールによって最高速度の大幅な緩和が期待できるかもしれません。新幹線並みの速度で走る車の中でのんびり本を読む。なんてことも可能になるかも。

6.カーシェアリングの増加で車購入の必要性が無くなる(低くなる)

車の所有には多大なコストがかかります。車の購入費用にメンテナンスや車検、ガソリン代などの維持費用(ランニングコスト)も相当なものです。駐車場の確保も大きな負担ですね。

カーシェアリングは既に存在していますが、自動運転によってカーシェアリングの利便性は飛躍的に高まり需要は一気に拡大するでしょう。スマホ一つで必要なときに必要な場所まで車からやってくる、これは便利。

車は使いたいときに使いたいだけ。使った分だけ課金される従量制や一定の使用までは一定額の定額制カーシェアリングが流行りそうです。

もはや車は所有せずとも使える時代が来るのです。

7.駐車場用地の有効活用

前項のカーシェアリングによって車の所有者が減れば、現在駐車場として利用されている土地が空くことになります。

特に都市部では駐車場が不要になることのメリットは計り知れないでしょう。

8.道路標識の削減により道路の景観がスッキリ綺麗に

道路標識は運転者に交通ルールを守らせるためのものですが、自動運転車なら少なくとも視覚的な標識は必要ありません。赤外線通信などにより目に見える道路標識は可能な限り減らせるはずです。

信号も同様に減らせるはずです。車同士がお互いの位置を認識し交差点での右左折も信号なしでスムーズにやってくれるでしょう。

世の中が自動運転車のみになった暁には道路標識も信号もいらなくなるかもしれません。

9.車両盗難の減少

センサーが多数搭載されているため車の異常をいち早く検知し、窃盗犯に警告を発したり所有者や警察への通報といったことまでこなしてくれるでしょう。

車両泥棒にとっては商売あがったりといったところですね。

10.車内が広々快適に

ハンドルやシフトレバーのような装置は必要無くなり、必要な操作はだいたいタッチパネルで設定可能になるでしょう。

余計な部品が無くなることで車内は広々と快適になり、新幹線のような対面式座席といった車内レイアウトも可能になるかもしれません。

おしゃべりや食事をしながらのドライブも楽しめそうです。

11.運転手の定義が変わる

運転に技術的な制約が無くなることで運転手の定義も見直す必要がありそうです。

現在車の運転には運転免許が必要だったり、年齢による制限や身体的な制限があります。運転の困難な障害者の方や視力・判断力の衰えた高齢者の方でも自由に車を利用することが可能になるかもしれません。

12.自動車保険が安くなる

交通事故が大幅に減ることで自動車保険も大幅に安くなりそうです。自動運転中の責任の所在については今後さらなる議論が進むでしょうが、場合によっては自動車保険自体不要になるかも。

自動車保険は車の維持費と共に大きなコストなので、保険料が値下がりすることは嬉しいことこの上なしですね。

13.燃費や車両寿命の向上

運転の仕方によって燃費や車自体の消耗は変わってきます。運転の荒い人は燃費も悪くタイヤの摩耗が早かったり、エンジンの負担が大きかったりと、車両の寿命にも大きく影響してきます。

自動運転車のデメリット

メリットばかりが目に付きますが、デメリットにも目を向けてみましょう。

1.事故発生時の責任問題

事故が減るはずの自動運転車でも避けられない事故が起こる可能性も有ります。そうした場合の責任の所在が運転手にあるのか自動車メーカー、あるいはソフトウェアメーカーにあるのか現在のところはっきり決まってはいません。

アメリカではGoogleの自動運転システムをドライバーとみなすとなったようで、運転が人の手を離れた場合システムの開発元が責任を負うことに今後なっていくのかもしれません。日本の場合だとそうした法整備は苦手のようなので難航しそうですね。

2.システムのハッキングによるトラブルや事故

自動運転車だけでなく、現在でも充分ハイテク化した車なので外部からのハッキングには警戒が必要です。更に高度なシステムを積んでネットによる通信も頻繁に行う自動運転車ではハッカーによる攻撃の対象となり得そうです。

ハッキングした車にわざと事故を起こさせるような犯罪行為も増えるかもしれません。

3.運転手の技術不足(ペーパードライバー化)

完全な自動運転技術が確立できるかどうかはまだ分かりませんが、今のところ考えられているシステムでは、オートドライブとマニュアルドライブの切り替え方式も有力のようです。

運転をする機会の減る近い将来、運転手のテクニック不足が心配されます。免許は持っているけど運転した経験が無い(少ない)ペーパードライバーが大幅に増えそうですね。

4.事故不可避時の判断

システムが事故を不可避と判断した場合のコース選択がいったいどうなるのでしょうか。どんなコースをたどったとしても何らかの被害が避けられない場合、ソフトがどんな判断を下すのか?

例えば右に行けば人を一人、左だと二人の被害者が発生するとした場合、ソフトは人をはねるとわかっていて右にハンドルを切ることになるのでしょうか?

これは道徳的問題と絡んで非常に複雑な問題となりそうです。

5.自動車関連産業・道路交通関連産業の就業人口激減

メリットの項で書いたように今後カーシェアリングの需要が飛躍的に伸びていく可能性があります。と同時に関連産業の就業人口が激減することになるかもしれません。

今現在この世に存在する自動車というのは大半の時間を車としての機能を果たしていません。どういうことかというと、車を通勤や買い物に足として使う場合車の稼働時間=移動時間ですね。仕事中や買い物中は車は動かずにいわば待機している状態です。
トラックやタクシーなどの場合は稼働時間がもっと伸びますが、それでも24時間フル稼働しているわけではないですよね。

カーシェアリングによって車を所有しなくても済むようになると車のオーナーが減るのは当然として、車1台あたりの稼働率が上がります。車を必要としている不特定多数の人たちによって、より効率よく隙間なく車が稼働し始めるでしょう。

車1台あたりの稼働率が上がれば社会全体の自動車に対する必要量が下がることが想像できます。道路を走る車の台数は今ほど必要無くなりそうです。

自動車の関連産業には以下のようなものがあります。

  • 製造 ー 自動車メーカー及び部品・付属品製造業
  • 利用 ー 貨物運送業・道路旅客業
  • サービス業 ー ガソリンスタンド・自動車保険業
  • 原料・資材 ー 鉄鋼業・プラスチック、ゴム、ガラス製造・電子部品製造、精油業・生産用機械製造
  • 販売・整備 ー 小売業・卸売・整備業

日本の自動車関連産業は驚くほど多岐にわたり、その就業人口はおよそ550万人おり全就業人口全体の9%近くを占めます(平成26年時点)。

こうした人たち全体がカーシェアリングの普及によって影響を受ける可能性が有ります。

参考資料:自動車関連産業と就業人口

6.兵器化によるテロの懸念

現在でも自動車を使った自爆テロが世界各地で脅威となっています。ドライバーの不要な自動運転車によって、人的損失の必要のない低コストな自動車爆弾が生まれることになるでしょう。

ハッキングによる被害と重なりますが、より被害の大きな爆発物によるテロ行為に世界中が怯えることになるかもしれません。

自動運転車のもたらす未来は?

交通事故の撲滅や運転や所有からの開放、土地の有効活用、渋滞の無い社会、様々なコスト低減効果など多くのメリットは、考えられるデメリットを上回って有り余るように思えます。

夢のような自動運転車のある未来、運転を楽しむことは出来ないかもしれませんが、代わりに映画や食事・おしゃべりやショッピングを楽しみながら目的地に向かう、なんて新たな楽しみ方もできそうです。

Phot by Travis Wise

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です