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闇車検、それは確かに存在する。あなたの車は大丈夫?神奈川の不正車検発覚で再認識

先日、自動車関連のニュースで目にした「神奈川いすゞ自動車」の不正車検問題。内容は車検時に必要なブレーキの分解整備を怠ったというものですが、これはとんでもないことです。
ブレーキという安全に関わる一番重要な部分の点検をしないということは、スキューバダイビングで酸素ボンベの残量を確認せずに海に潜るようなもの(大げさ?)。とにかく、運転中にブレーキが効かなくなったらどうしてくれるんですか?

車検で義務付けられているドラムブレーキの分解整備を実施していないのに、指定整備記録簿に「整備済み」とうその記載をした疑い。
暗号で「整備は不要」伝達…神奈川いすゞ不正車検:YOMIURI ONLINE

この会社で問題の不正車検に関わったのは11人の自動車検査員。自動車検査員というのは自動車の車検時に保安基準に適合しているかどうかを検査する国家資格保持者で、本来国が行うべき検査を代行するのでいわゆるみなし公務員にあたる立派な職種です。
ところで今回の不正車検に関するニュースは、私にとっては別に驚くほどのことではありませんでした。

闇車検という言葉をご存知ですか?

闇車検、初めて耳にしたという方もいるかもしれませんが、なにやら不穏な響きですよね。
闇車検とは本来であれば車検に通らない状態の車を必要な整備をせずに、もしくは点検そのものをせずに車検に合格させるというもので、違法であるのはもちろんのこと車検制度の在り方そのものを根本から揺るがす大問題です。
ろくに点検や整備をしていない車が堂々と道路を走り回っているわけです。

実は需要がある闇車検

定期点検・分解整備をせずに車検を通す闇車検ですが、整備事業者の都合のみで横行しているわけではなく、実は闇車検にはニーズがあるのです。と書くととんでもなく語弊がありそうですが、これは事実です。
自動車を道路で運転するためには車検を受けることは義務であり当然ですが(自衛隊などの例外あり)、世の中には車検にすんなり通る車ばかりではないのです。例えば、

  • 古くなりすぎて車検を通すためにかなりの費用がかかる車
  • 違法に改造しているため車検自体に合格するはずがない車

上に挙げた例のような車に乗っている人にとって車検は、大きな壁です。かといって車検を受けずに乗り続けることもできませんし、そんなとき馴染みの車屋さんに相談するわけです。
「この車今度車検なんだけど色々修理しなくちゃ通らないよね・・・なんとか安く済ませられないかな?」とか「この車、車検通らないと思うんだけどどうにかならない?」
こんなことを言われた車屋としては、必要な修理をすべきだと強く勧めるとか車の買い替えを勧めるとかそんなことはできないと断るとか、というのが本来の在るべき姿だと思いますが、付合いや自社の経営状態などによってやむにやまれず引き受けてしまうこともあるのではないかと思います。
また、コストと時間のかかる点検整備などの手間を省けるため、願ったりかなったりという車屋さんもいるかもしれません。

需要があるから供給するというよりお互いの思惑が一致する闇車検

上で書いたように車検費用を安く済ませたい・通らないものを通したいというユーザーがいて、引き受ける整備工場も大幅に手間が省けて儲かる闇車検。まさに一挙両得と言っていいのかどうかは解りませんが、「需要⇒供給」の図式というよりは、「需要×需要=闇車検」というのが実態かもしれません。
中には今回の神奈川いすゞ自動車のように需要もないのに不正に車検を通す事業者もいるでしょう。

闇車検を一掃するには国が動く必要がある

いずれにしても車検制度を根本からないがしろにする闇車検が横行しているのは紛れもなく事実なわけで、今後車検制度の在り方そのものに対する議論に発展して欲しい。だいたい車検費用って高すぎると思いますし、ユーザー車検の敷居も依然低いとはいえない状況です。
自動車を運転する以上、安全に保つのはユーザーの義務としても、かかるランニングコストが高すぎるのが日本の自動車事情です。こればっかりは行政が動くしかないと思うのですが、何とかなりませんかね?鳩山首相?

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